【前回まで・・・
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<支配と抑圧>それまで私はカールに対し、寛容で礼儀正しい人という印象をもっていましたが、久しぶりにあった彼はどこかよそよそしく感じられました。彼が最初にしたことといえば、私を彼の従姉妹に引き合わせること。彼女は私に、カールの好きな料理や掃除の仕方を指示する係だったのです。
また、彼はとにかく子作りを急いでいるようでした。彼との初めてのセックスは、計画的で機械的。全く感情のこもっていないものでした。当然がっかりしましたが、これも新たな生活を送るための「交換条件」の一つに過ぎないと考えるようにしたのです。
まもなくして、カールは排卵検査キットを購入。私の生理周期をチェックしながら、より妊娠確率の高い日に合わせてセックスするようになりました。
ある時、カールは息子のディミトリを自分に少しでも似せようと、彼のブロンドの髪を黒く染めてしまったことがありました。ショックを受けた私が息子の頭を剃るのを、カールはただ笑って見ていただけでした。
カールの支配的な態度は生活の端々で見られるようになりました。私が家族と話すために使う電話代が高すぎるからと、毎月10ドル分のコーリングカードを使うよう指示されました。また、彼のパソコンにはパスワードがかかっていたため、いちいち彼に頼まなければ、メールを送ることさえできませんでした。
思い描いていたのとは全く異なる生活に、「ダマされた」という思いがこみ上げてくることもありましたが、この豪邸での新生活を気に入った息子のためであれば、このくらいは我慢できると思ったのです。
カールと暮らし始めてから3ヶ月後、私は彼の子を宿しました。01年の秋、私たちは役所で結婚。彼は私とディミトリのためにグリーンカードを申請すると約束してくれました。待望の子供を授かり、カールはさぞ満足しているかと思いきや、月日の流れとともに、彼は私に対してますます抑圧的になっていったのです。
私は運転免許証はおろか、玄関の鍵すら持っていませんでした。カールに合鍵を求めると、「他に行く場所などないのだから必要ない」と一蹴。彼の言うとおり、私にはお金も友人もなければ、外国の地で独立して暮らすスキルもありません。
彼は度々私に対し、「オクサナ、キミはもっと従順な子だと思っていたよ。ウクライナではそういう風に見えたのにね」と小言を言うようになりました。私はまるで自分が無力な子供のように思えてきました。次第に内に閉じこもるようになった私は、ただ家事をこなすだけの退屈な日々を送るようになりました。
カールはディミトリに対しても、傲慢な態度を取り始めました。ある日、ディミトリが寝室の壁紙を破いたことに腹を立てたカールは、息子の手をつかむとお尻を思いっきり叩いたのです。あまりに強く叩いたため、お尻には手の跡がくっきりと赤く残るほどでした。
この一件の後、私は家を出たいとカールに伝えました。しかし、彼は子育ての経験がないことを言い訳に私とディミトリに許しを乞うたのです。また同時に、私が帰国するための旅費を払う気がないことも付け加えました。
(続く)
My Life as a Mail-Order Bride (Marie Clair)
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